基本情報
授業の概要・目的
「概念」とは何か、という問題は哲学において主要な問いであり続けてきた。また「知覚・思考・知識の単位」としての概念は、認知科学における「表象」、機械学習における「表現」とは何か、という問題とも密接に関係している。そこで本授業ではまず、(1)アリストテレス、バークリー、カント、ウィトゲンシュタイン等々、様々な哲学者によって提案されてきた「概念」理論を類型化し、それらの特徴と長所・短所を明らかにする。次に、(2)そうした哲学的理論と、認知科学においける種々の表象理論(古典理論、プロトタイプ理論、theory-theory等)との対応を見る。さらに、(3)20世紀からの機械学習理論における「表現」についての様々なアプローチと対比しつつ、各概念理論の数理的な基盤(代数的・幾何学的)を明らかにすることで、それら概念理論の形式的特徴をあぶり出すとともに、その統合の可能性を探る。
到達目標
- 「概念」についての様々な哲学的理論と、その長所・短所を理解する
- 様々な「概念」の捉え方を軸に、哲学・認知科学・機械学習の関連性を学ぶ
- それぞれの概念理論の数理的基盤を理解する
授業計画と内容
主に以下の内容に基づき、各回ごと担当者が指定されたテキストをまとめ、議論する
- オリエンテーション
- アリストテレス抽象主義 (3-4回)
- 哲学:Aristotelian abstractionism
- 認知科学:Classical theory of concepts
- 機械学習:Knowledge representation in expert systems
- 数学:ブール代数による抽象モデリング
- Readings
- 10/16(青木)五十嵐, 情報の哲学試論
- 10/23(岩永)
- Davey & Priestly, Introduction to Lattices and Order, ch. 3, Formal Concept Analysis (pp. 65-68)
- Optional:束(lattice)の解説
- 11/6(上田・佐々木)
- Machrey, Doing without Concepts, pp. 76-80
- Wittgenstein, 哲学探究, § 65-73
- Optional
- Wikipedia, Expert system (Software architecture)
- Gillies, Artificial intelligence and scientific method, pp. 27-29
- カント『純粋理性批判』図式論